双葉荘より(About Us)


賓至如歸(賓至り、帰るが如し

 

双葉荘は創業当初より家族で切り盛りしている小さな宿。ほっこりするアットホームなサービスを心がけています。『賓至り帰るが如し訪れたお客様が、わが家に帰ったかのようにゆったりとくつろいだ気持ちになれるように。そんな思いを込めていつもお客様をお迎えしています。

 

オルゴールの音色に癒されて

 

お客様がご到着の際にはウェルカムソングとして、ロビーにあるディスクオルゴールが「琵琶湖周航の歌」を奏でます。このディスクオルゴールは、歌の大好きな常連のお客様に楽しんでいただけるよう20年ほど前に導入したものです。

 

 

 

右手のうさぎのマークは当館ロゴです。

謡曲の竹生島にはびわ湖に立つ白波が、うさぎが飛び跳ねるように見える。

その描写を形にしたものが竹生島文様と言われております。

それを基に優しく・時に厳しく包み込むびわ湖の波と

飛び跳ねる2羽のうさぎを描いております。

2024年は会社として55年目・旅館として60年を迎える年になります。

今後もこの地で元気に跳ね跳ねるように努めてまいります。

 

 


滋賀県湖東・湖北エリアを中心とした地域情報誌

DADA Journal Vol.203」より小太郎さんの寄稿文より

そんなつもりはなかったのだけれど、僕は双葉荘という松原湖畔にある宿のロビーでディスクオルゴールの 音色に聴き惚れていた。オルゴールは「琵琶湖周航の歌をロビーに流したかった」という、 オーナーのたったひとつの願いを叶えた現実だった。

繰り返し、演奏を始め、静寂を想い知らすようにそれは終わりを告げる 耳が聴くだけではない。建物全体が共鳴し深く気持ちまで震える音が届く ディスクは琵琶湖周航の歌、花のワルツ・・・、全10曲が用意され、リクエストでディスクを入れ替えてもらえる。

 オルゴールの演奏はセラピーにも使われているから、 その音色は気持ちのいいいちばんやわらかい部分に届くのかも知れない。 僕が持っていたオルゴールといえば、ドラムに仕組まれた爪がリードを弾く構造で、 数十秒の間メロディを奏で、ゼンマイのほどける間、演奏を繰り返すという代物だった。 ゼンマイが切れるか切れないかの一瞬に、この手のオルゴールの哲学があったりする。

 双葉荘のそれは、金属のディスク(円盤)に穴が空いているという構造で、 仕組みを想像するのはちょっと難しいが、曲が終わるまで正確にリズムを刻む。 日本で十数台しかないという随分と高価な代物だ。

 ディスクオルゴールが奏でる湖畔の宿・・・癒されてゆく懐いがある。 果たして音色に気持ちに、何を想うのかって、問題だったりするかも知れない。 えっ?僕の場合?決まってるじゃない。内緒だよ。

 

館内に展示している書道作品


 

館内には書や絵画作品などの展示が多数ございます。ロビーに掛かる「夢」の書は、彦根市立城陽小学校の元教頭で、現在は海外でも書道を広める活動をされている書家、堤豊宏先生の作品。双葉荘の厨房を預かる長男と営業担当の次男も小学生の頃に大変お世話になった先生であり、作品集「の世界 私の生き方修行」の刊行記念展を開催するなど、当館との縁が深く、多くの作品を展示させていただいております。力強い筆致の作品からは、溢れんばかりのエネルギーを感じます

 

堤豊弘著「『書』の世界 私の行き方修行」(サンライズ出版より)

落語家 三笑亭夢之助さんの寄稿文より

 

先生の作品を目にしたのは読売テレビが1年に1回超イベントとして放送している 鳥人間コンテストの大会本部として使っていました、彦根の双葉荘という旅館の応接間でした。 先生の作品は「夢」という字でした。初めて見た時の感動は、 今でも忘れていません。「夢」という字をしっかり見ているのですが、そこで見たものといったら、字を通り越して、 今自分が持っている夢が映像として表れたのです。 スタッフの、夢之助さん打ち合わせですよという言葉を背中で聞いて、 すいませんちょっと待ってくださいと言って10分ぐらいは見ていたでしょうか。 それからは先生のことが知りたくなり、双葉荘の女将さんに 無理を言って先生の住所を聞いて、手紙を出したという次第です。

 

先生の作品に触れた方は誰でも思うことですが、字のもつ本来の意味が見ている人に どんどん、どんどん迫って心を動かし、作品を通していろんなものが見えてくる。それが見る ものに感じる心、感動をあたえてくれるのでしょう。

 

今、我が家の応接間には、先生の作品「花」が飾られています。 見る人によってこの「花」がそれぞれ違いますが、誰もがきれいな花が咲きみだれて満開の花を見ています。 なんで先生の作品が家にあるのかって聞きたいでしょう。 それはね、欲しい欲しいって手紙を書いては出し、手紙を書いては出して、とうとう先生の心が動いたのです。 人間諦めちゃいけませんね。先生ごめんなさい。

 

お陰様で先生の作品「花」も、今はすっかり家族の一員として、お客様をむかえています。

 

人の縁を繋ぐ旅の宿

七夕の湯の隣にある階段の踊り場にある仏様の絵は、滋賀県甲南町在住の画家、岩下哲士さんの作品です。彼は1歳の時に急性小児片麻痺という重篤な病気を発症し、右脳の機能を失いながらも8歳から絵を描き始め、これまでに数多くのコンクールで入賞。中学校の美術の教科書に作品が取り上げられるまでになりました。彼の優しい性格をそのまま映し出したような大胆でカラフルな色使い、思わず微笑みを誘うユニークな発想で花や動物など生命あるものへの限りない愛情を描き、その作品は見るものの心を捉えて放しません。

 

2007年、高宮での蝸牛会アート展に出品するため彦根を訪れた際、双葉荘で宿泊したことを機に、2011年5月に双葉荘で初の作品展を開催。その時に来場されたコーヒーメーカー・UCCホールディングス(本社・神戸市)の上島達司会長の知人に、子どもの時からUCCのコーヒーを飲んでいることを話したことから、上島会長が岩下さん宅を訪問。お二人は意気投合し、岩下さんが15歳の時に描き、門外不出にしていたという、UCCの空き缶とカップが描かれた絵を寄贈されました。この作品は現在、UCCコーヒー博物館(神戸市)に展示されているそうです。

旅は人との新たな出会いをもたらしてくれます。双葉荘では地域の方や宿泊されたお客様同士のご縁を繋げる場としての役割も果たしていけたらという思いで、アットホームにくつろいでいただける雰囲気を大切にしています